スパイダーマンだって空を飛んでいると言えますね。
クモといえば、あみをかけてえものをじっと待っていたり、家の中でノソノソと歩いていたりする姿を思い浮かべることでしょう。
そのクモが空を飛ぶといったら信じられますか。
なにしろクモは虫ではあるけど、昆虫ではない。
だから羽はありません。
羽がないのに飛べるわけはない。
ところが、これが飛べるんです。
クモの卵は、母グモが糸で作ってくれたあたたかくてしっかりした袋に包まれて大きくなります。
やがて卵がかえると、何百という赤ちゃんグモが袋から飛び出します。
でも、彼らにはエサを与えてくれる親はいません。
生まれたときから、自分の力で生きていかなければならないのです。
そこで、兄弟とエサの取り合いをしないよう遠いところまで旅に出なければなりません。
その方法が空を飛ぶことなんです。
クモたちはまず、高いところへとのぼっていきます。
そして、おしりを空へ向けて持ち上げていると、銀色の細い糸がスルスルとおしりから出てきます。
そのうちに糸は風に乗って流れ始め、クモは糸の端にくっついたまま空高く飛んでいくのです。
タンポポやアザミの種が綿毛をつけて飛んでいく方法と似ています。
たどり着いたところで、クモの生活が始まるわけですが、風を利用するやり方は、そのあとも続きます。
たとえば、あみをかけるときも、屋根に上がって長く糸を出し、風に漂う系がどこかにくっつくのを待って、その糸を基本にほかの何本もの糸を張っていくといった具合。
ところで、種類によってちがいますが、赤ちゃんグモが巣だっていくのは、おもに六月ころ。
ぜひ、この目で飛んでいくクモを見てみたいものです。